少子化なのに・・・10年間で10万件増加
去年、東京・目黒区で当時5歳の船戸結愛ちゃんが虐待死した事件。
その後も子どもの虐待死事件はあとをたたず、今年に入っても1月、千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛さんが虐待を受け死亡した。
加えて虐待の相談件数は年々増加。
平成30年度の速報値では15万9800件を超え過去最多になった。
平成20年度には、およそ4万2600件。
子どもの数は減少する中、この10年で10万件以上も増えたことになる。
相次ぐ虐待死事案と増え続ける虐待相談対応件数に国が動き出した。
今年3月には、虐待防止の抜本的な強化をはかるための対策が決定、これらに基づき、今年6月には改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が成立。
一部が来年4月から施行され、親のしつけと称した体罰が禁止になり、児童相談所では支援する側と家庭に介入側の職員を分けて対応するなど体制強化がはかられる。
心を傷つける言葉のガイドラインも
日々のしつけの中で何が体罰にあたるのか、この線引きは難しい。
しかし、厚労省は今年9月にはしつけにおける体罰禁止のガイドラインを策定するための初めての会議を開催し、12月には指針案の素案を策定した。
・口で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた
・大切なものにいたずらしたので、長時間正座をさせた
・宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
これらはすべて体罰にあたる。
厚労省は体罰だけではなく暴言などの子どもの心を傷つける行為についてもガイドラインに記している。
・冗談のつもりで「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子どもの存在を否定するようなことを言った。
・やる気を出させるために、きょうだいを引き合いにしてダメ出しや無視をした
これらは子どもの心を傷つける行為にあたる。
「時間の使い方を見直す」保護者へのアドバイスも
この指針案には、最後に多くのページ数を割いて悩みを抱える保護者へのアドバイスも記された。
・子どもとの接し方のポイントとして、子どもの気持ちを受け止める、気持ちや考えを聞く。
・良いこと、望ましいことをしたら褒める。
・親自身のポイントとして、家事の分担、時間の使い方などを見直す。クールダウンの方法を見つける。一人で抱え込まない。
厚労省の担当者は「体罰のガイドラインを決めて親を取り締まる、罰することが目的ではなく、体罰に依らない子育てを社会全体に広める啓発活動と考えている。そのうえで体罰に依らない子育てを推進していくこと。最終的にはこうした思いで子どもに接してほしいという視点で特に議論が進められた」と語る。
また今年 12月からは虐待対応ダイヤル189の無料化を開始。
これまで月に2万件程度の入電があったのに、実際に児童相談所が話を聞けたのは、およそ5000件。
多くの人が、電話がつながる前に、受話器を置いていることになる。
厚労省は、「料金がかかることが一つの要因と考えていることから無料化をはかった。虐待を発見した場合に限らず、子どもに関する相談があれば躊躇なく電話してほしい」としている。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース