昨年1年間にSNSの利用をきっかけに事件に巻き込まれた18歳未満の子どもが1819人(前年比12・6%減)だったことが、警察庁のまとめでわかった。そのうち略取誘拐の被害は6割増の75人、殺人未遂が2人いた。こうした重大な犯罪につながるおそれもあり、同庁はSNSの適切な利用を呼びかけている。
被害者の内訳は、高校生が917人(127人減)、中学生が695人(152人減)で、全体の9割近くを占めた。小学生は84人(12人増)で、5年間で2倍に増えた。スマートフォンの普及が背景にあるとみられる。
罪種別でみると、淫行などの青少年保護育成条例738人、裸の写真の撮影など児童ポルノ597人、児童買春311人、略取誘拐75人、強制性交等45人など。少女が男に首を絞められるなど殺人未遂も2件あった。
被害者が利用したSNSは「ツイッター」642人、「インスタグラム」221人、学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」160人、動画アプリ「TikTok」76人、音声でやり取りする「KoeTomo」63人。警察庁は被害が多い五つを公表しており、TikTokとKoeTomoが入ったのは初めて。
特定のアプリの使用制限などができる「フィルタリング」の利用の有無がわかった1151人のうち、8割以上が被害時に利用していなかった。
一方、SNSを使ったかどうかにかかわらず警察が摘発した児童ポルノ事件は2757件(9・9%減)あり、被害にあった子どもは1320人(15・3%減)だった。また、児童買春関連の摘発は8・4%減の2409件、被害の子どもは12・7%減の1531人。
子どもが巻き込まれるこうした犯罪が減少傾向になっていることに、警察庁は「コロナ禍で子どもも大人も外出を控えたことが影響した可能性がある」としている。(田内康介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル