編集委員・副島英樹
米国内の核実験被害の実態に迫る映画「放射線を浴びたX年後Ⅲ サイレント・フォールアウト~乳歯が語る大陸汚染」の上映会が8月20日、広島市中区で開かれた。「まともな地球を次の世代に残したい。いま歯止めをかけないと取り返しようがなくなる」。上映後、この映画シリーズを手掛けてきた映画監督の伊東英朗さん(63)は訴えた。
今回の映画(96分)は、1950年代から60年代に米ネバダ州で実施された核実験による放射能汚染を追跡。子どもを被曝(ひばく)から守るため女性たちが始めた「乳歯検査」の史実を中心に、4千ページを超える文書と30人の証言で構成している。
「実はみなさん全員、被曝者だっていうことは自覚されているでしょうか」
上映後の若者とのトークイベントで、伊東監督はそう語り始めた。
米国はネバダで100回の大気圏内核実験を行い、太平洋での水爆実験でも放射性降下物(フォールアウト)で米国自身を汚染。映画では、各地で採取されたハチミツからセシウム137が検出される実態が描かれる。核実験由来の汚染は日本列島も例外ではない。
「私たち自身が被曝しているという認識を持たないと、世界中の放射能の問題は変わらない」
60年代の米国では、子どもを守りたいという女性たちの思いと行動が当時のケネディ大統領を動かし、大気圏内での核実験禁止につながった。
「この映画のサブテーマは…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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