中学や高校で、卒業と共にその役目を終える学生服。これを繊維原料にまで戻し、もう一度新たな学生服に仕立て上げる「循環型制服」の取り組みが、東京都内の私立高校で始まった。衣類の大量廃棄が問題となるなか、服から服へと循環させる。生徒たちも「学校の新たな伝統に」と意気込む。
7月中旬の放課後、東京都世田谷区の駒場学園高校で、生徒約20人が制服の素材や製造工程について学んでいた。有志からなる「循環型制服プロジェクト」のメンバーで、取り組みについて全校生徒に理解を深めてもらうために活動している。
この日は、制服生地大手の日本毛織(大阪)の社員を招き、繊維の実験などを交えながら話を聞いた。制服の原料は主に羊毛(ウール)。強度や通気性などから制服に適した素材であることや、1着の制服をつくるのに100人以上が関わっていることなどを学んだ。
日本では年間15億着もの衣類が、売れ残るなどして新品のまま処分されているという話も聞き、1年生の遠藤元樹さん(16)は「知らなくて衝撃的だった」と驚く。そのうえで「循環型制服は環境にも優しい。使わない服を寄付するだけで活動に貢献できるのもいい」と話した。
プロジェクトは、戸塚哲夫副校長が制服のリユース(再使用)ではなく、リサイクル(再生利用)で新しい制服を作れないか、と考えたのがきっかけだ。賛同した生徒たちが呼びかけ、今年3月の卒業生からは制服のジャケット79着が寄贈された。現在、これを基に来春の新入生向けのジャケットを製造中という。
どんな工程を経て新たな制服に生まれ変わるのか。
まずは集めた制服からボタン…
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル