新型コロナウイルスの感染拡大で全国的に休校が続く中、大型連休が明けた7日、一部の自治体で学校活動が再開された。文部科学省のガイドラインで示された教育現場での感染予防策を取り入れ、段階的な再開への道筋を模索する動きが出始めたものの、重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」を中心に休校継続を余儀なくされる自治体は依然として多く、地域間で学習格差が拡大しかねない状況に陥っている。
「感染リスクについて保護者や地域住民からの厳しい声もある。ただ、一方で学習機会も早急に確保しなければならず、悩ましい」
7日に小中高校が再開した鳥取県。県の教育委員会は緊張感に包まれていた。県内で確認された感染者は3人(6日時点)で、感染の広がりがみられないことなどから再開を判断した。
同日には、感染者が26人(同)の青森県も県立校を再開した。両県とも学級や学年を分けた分散登校などの感染予防対策を取り入れての再開だが、鳥取県教委の担当者は「学級を2つに分ければ、単純計算で授業の進捗(しんちょく)も半減する。夏休みも履修に充てるなど学校ごとに検討が必要だ」と山積する課題に頭を抱える。
感染者ゼロの岩手県では分散登校を行わずに県立校で学校運営を再開した。4月以降も大型連休期間中を除いて授業を続けており、「授業に目立った遅れはない」(県教委)という。
一方で、特定警戒都道府県とされた東京や大阪など休校を継続する自治体は多い。すでに約2カ月間の休校状態が続く大阪市は7日、休校措置の5月末までの延長を決定。「(授業が)1年の4分の1の期間で止まった状況を、残りの期間で取り返すのは難しい」(松井一郎市長)。
地域によって学校運営が異なる状況が生じたことで学習格差拡大の懸念が高まる中、一部の自治体は、現状では義務教育の公平性を担保できなくなるなどとして「9月入学制」の導入を求めており、政府も検討する考えを示している。
学習格差の解消にはオンライン授業など遠隔教育の活用が一手。しかし、通信環境整備の遅れや教員側のノウハウ不足などが障害となって全国的に活用されているとは言いがたい。千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)は現実的な対応として、「履修の遅れが子供たちの不利益とならないよう、受験の出題範囲を狭める配慮を文科省が学校などに求めるべきだ」と指摘した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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