日本学術会議の会員候補6人が任命拒否された問題は発覚から1年半がすぎても、手詰まりの状況が続いている。繰り返し任命を求める学術会議側に対し、岸田政権は「手続きは終了した」と立場を変えていない。政権は、科学技術の振興を目玉政策「新しい資本主義」の成長戦略の柱にすえるが、アカデミアとの「対話」は平行線が続いている。
「会員の信任をもって選ばれた会長にとって、(任命拒否問題の)解決を図ることが最大の責務。引き続き粘り強い取り組みを進める」
2日間の日程の総会を終えた19日の記者会見で、学術会議の梶田隆章会長は、そう答えるにとどめた。問題発覚後これまでに開かれた総会では、6人の即時任命を求める声明などをまとめたが、今回は特段の対応をしなかった。ただ、総会では「任命拒否が前例となってしまうことを非常に恐れている」「総理が合理的な説明なしに任命拒否できるならば、例えば、核保有を進める政府が核保有に反対する学者をのぞくことができる」と会員から懸念の声があがった。
発端は2020年10月、当時の菅義偉首相が、同会議側が推薦した会員候補105人のうち、人文・社会科学分野の研究者6人を任命しなかったことだ。6人は安倍政権が進めた安保法制や「共謀罪」法、改憲の動きに批判的な言動をしていた。菅氏は拒んだ理由の明確な説明をしなかった。
あとを継いだ岸田文雄首相も…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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