28日、菅総理の就任後初めての国会論戦が始まった。代表質問では、立憲民主党の枝野代表が日本学術会議をめぐる任命見送り問題について厳しく追及した。 【映像】追及する枝野代表、菅総理の答弁 日本学術会議法では会員について、推薦に基づいて内閣総理大臣が任命し、その基準は「優れた研究または業績がある科学者」と定めている。枝野代表は、総理の任命について「天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する」とした憲法の規定と法的構造は同じだと指摘。 菅総理は「各法令によって権能や責任が異なる」「条文のみで比較するのは妥当でない」とした上で、「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが出ないことも踏まえた多様性を念頭に、私が任命権者として判断を行ったもの」「必ず任命しなければならないわけでなく、政府の一貫した考え」と述べた。一方で、菅総理はこれまで、6人除外前の推薦名簿は見ていないとも説明している。
菅総理の答弁について、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「説明になっていない。名簿を見ていないと言ったにも関わらず、どうやって民間や若手が少ない、出身大学に偏りがあると判断したのか。さらに、どういう偏りがあると問題だと考えているのかというところまで踏み込まないと、説明にならない。説明できないので、手を変え品を変え答弁しているとしか思えない」と苦言を呈する。 また、議論が日本学術会議のあり方に及んでいることについては、「これは論点のすり替え。あくまで任命しなかった理由を説明できるかどうかだけの話。学術会議のあり方が争点ではない」と指摘した。
一方で、世論は批判一色ではないとし、「各社の世論調査で菅総理の支持率は決して低くない。説明がないのは問題だと考えている人が4割程度いる一方で、3割ちょっとの人は菅さんに分があると考えている。これだけ批判的な報道がなされている中での数字であることを踏まえる必要がある。僕から見ると賛否の差はそこまで大きくはない。3割の人は “学術会議は既得権益で、学者たちがごねている”と考えている。ここに対して、今の野党は説得的な攻め方ができていない」との見方を示す。 石戸氏は、今は菅総理が得をしている状況だとみているという。「世論調査は流動的で動きやすいが、この3割はある程度動かない岩盤だとみた方がいい。菅さんもそれを知っていて、そこまで説明しなくていいだろう、いずれほとぼりがさめるだろう、と似たような答弁を繰り返しているのではないか。野党は攻め方をもう少し考える必要があるし、擁護する側も説明のあり方を考えていかないと世論が『反既得権益』に振れていく可能性が高まる。学術会議に大した既得権益はないのに、問題をやたら大きくして“既得権益は改革の対象にしなければ”という話で寄り切られてしまう。これはどうみても菅さんの方が得をしている。全くピンチではない」と述べた。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース