宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、今秋にも国際宇宙ステーション(ISS)で実証試験を始める水再生装置が24日、茨城県つくば市のJAXA筑波宇宙センターで公開された。宇宙飛行士の尿を浄化して飲み水をつくるもので、従来の装置より小型で省エネを実現できるという。
水処理機器メーカーの栗田工業(東京)と共同開発した。幅70センチ、奥行き60センチ、高さ55センチで、重さは約100キロ。尿から有機物やイオンを取り除き、1日に0・8リットルの飲み水をつくれる。有機物を高温高圧で電気分解することで、従来の蒸留法に比べて効率が改善。ISSで現在使われている装置は、尿から飲み水を得る再生率が70%台だが、85%に向上した。
今秋にもISSの日本実験棟「きぼう」に運び、尿に似せた液体や実際の尿で半年ほど試験する。浄化した水のサンプルは地球に持ち帰って分析し、無重力でも装置が正常に動作するか確かめる。
JAXAの松本聡・主任研究開発員は「最終目標は宇宙飛行士4人分の尿から1日7・2リットルの水を再生できる装置。2020年代前半には実現したい」と話す。米航空宇宙局(NASA)が計画を主導する月周回宇宙ステーション「ゲートウェー」への導入をめざしている。(谷口哲雄)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル