自民支持層という「常連客」を固め、無党派層という「一見さん」をつなぎとめることで歴代最長となった安倍政権。政治家や有権者の意識分析に詳しい東京大学の谷口将紀教授(現代日本政治論)は、支持者が3層構造になっている「バウムクーヘンのよう」な状態だと指摘します。長期政権を支えてきた世論を探る最終回。若者の保守化は本当なのか? 「長続き」が目的になっていないのか? 谷口教授に聞きました。(朝日新聞記者・磯部佳孝)
3層構造の支持層
磯部:安倍政権を支持する人たちはどんな特徴がありますか?
谷口教授:第2次安倍政権の支持層は、安倍政権の看板政策である「アベノミクス」といった経済政策や、外交・安全保障政策といった施策を積極的に支持するコアな支持層を中心に、官邸主導で政治を進める安倍政権を「なんとなく」好感する層、安倍首相の代わりになるリーダーがいないから支持する層、という3層構造になっています。バウムクーヘンのような形状です。
「より悪くない」という選択肢
磯部:「なんとなく」好感するとはどういうことでしょうか?
谷口教授:谷口研究室では、今年7月の参院選後に有権者約1千人を対象にしたインターネット調査をしました。そこで、安倍政権の評価を聞くと、アベノミクスなどの個別政策よりも「全般的な仕事ぶり」を評価する人が最も多かったのです。
谷口教授:そこから見えてきたことは、安倍政権は、有権者に「何かをやってくれそうだ」という期待感を抱かせることで続いてきた、ということでした。安倍政権下に行われた国政選挙の投票率の低迷が示すように、多くの有権者にとって、安倍政権は「より良い選択肢」というよりも、「より悪くない選択肢」であるということです。
ライバル不在が原因
磯部:なぜ、こうした政権が続くのでしょうか?
谷口教授:第2次安倍政権が長く続いている背景には、自民党にも、野党にも、安倍首相のライバルがいないことがあります。第1次政権で安倍首相が早期退陣した理由の一つには、麻生太郎氏や福田康夫氏、谷垣禎一氏といった自民党内の後継者や、野党・民主党(当時)の存在がありました。しかし、いまは安倍首相に代わりうる選択肢がありません。
谷口教授:ライバル不在の現状は、自民党内に後継者を作らず、「悪夢の民主党」と訴えて受け皿となる野党を潰す、といった安倍首相の戦略が功を奏していると言えます。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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