安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用をめぐる問題で、安倍前首相らを不起訴とした東京地検特捜部の処分の一部を「不起訴不当」とした東京第一検察審査会の議決書が30日午後、公表された。議決書は、安倍氏について「総理大臣であった者が秘書がやったことだとして関知しない姿勢は国民感情として納得できない」と批判した。
議決書によると、不起訴処分を検審が「不当」と判断したのは、安倍氏側が補塡(ほてん)した夕食会の費用が選挙区内での寄付にあたるという公職選挙法違反と、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」の会計責任者の選任監督を怠ったという政治資金規正法違反の二つの容疑。
夕食会を主催した政治団体「安倍晋三後援会」(山口県下関市)の収支報告書に夕食会の収支を記載しなかったという政治資金規正法違反容疑などについては、「不起訴相当」とした。
さらに、議決書は「付言」のなかで、桜を見る会を税金を使った「公的な行事」と指摘。招待されるべき資格のない後援会関係者らが参加したことや費用管理がずさんだったことをふまえ、選定基準や資金管理の透明性を確保すべきだなどとした。
また、元首相で現役の国会議員である安倍氏については「清廉潔白な政治活動を行い、疑義が生じた際にはきちんと説明責任を果たすべきだ」とも指摘した。
◇議決書の「付言」の全文は以下の通り
「桜を見る会」は税金を使用した公的な行事であるにもかかわらず、本来招待されるべき資格のない後援会の人たちが多数参加しているのは事実であって、今後は候補者の選定に当たっては、国民からの疑念が持たれないように選定基準にのっとって厳格かつ透明性の高いものにしてもらいたい。
また「桜を見る会前夜祭」の費用の不足分を現金で補塡(ほてん)しているが、現金の管理がずさんであると言わざるをえず、そういった経費を政治家の資産から補塡するのであれば、その原資についても明確にしておく必要があると思われ、この点についても疑義が生じないように証拠書類を保存し、透明性のある資金管理を行ってもらいたい。
最後に、政治家はもとより総理大臣であった者が、秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない。国民の代表者である自覚を持ち、清廉潔白な政治活動を行い、疑義が生じた際には、きちんと説明責任を果たすべきであると考える。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル