安倍晋三首相(自民党総裁)は参院選(21日投開票)前の最後の日曜日となった14日、広島選挙区(改選数2)の党公認候補2人の応援演説を行った。野党統一候補と激しく争う東北の1人区などでは劣勢も伝えられており、広島で議席を独占して上積みしたい考えだ。ただ、改選の現職に加え党本部主導で2人目となった新人を擁立したことに地元の不満がくすぶり、身内で激しい戦いを繰り広げている。
「とにかく2人当選を果たしたい。(新人候補を)2番にしてほしい」
広島市中心部で新人候補の応援演説に立った首相はこう訴えた。現職候補が所属する岸田派会長の岸田文雄政調会長も駆けつけ「広島の2議席は全体の結果に影響する。力添えをお願い申し上げる」と強調した。
自民が参院選で広島に2人擁立したのは21年ぶり。近年は自民候補が2位の野党候補に大勝しており、強気の2人擁立となった。
首相はその後、別の場所で現職の応援演説を行い、平成3年に広島東洋カープがペナントレースで逆転優勝したことに触れ「みんなで頑張れば不可能はない」と議席独占を呼びかけた。
当初は現職のトップ当選が予想されていたが、状況は変わりつつある。新人には菅義偉官房長官が15、16両日に応援に入る予定で、官邸の全面的な支援で猛追。無所属現職の野党統一候補も交え横一線にある。岸田派所属で県連会長の宮沢洋一参院議員は現職の応援演説で「2位でも構いません」と危機感をあらわにした。
自民県連の地方議員や大半の国会議員らは現職支援でまとまり、2人目の擁立への反発は依然根強い。両候補の演説会場の距離はわずか数百メートル。多忙な首相の日程を考慮すれば1カ所で演説するのが一般的だが、両候補の溝を象徴する形になった。県連幹部は「どちらが勝っても『自民王国』の岩盤が傷つき、遺恨が残る」とこぼした。
一方、公明党の山口那津男代表は大阪市での演説で「政治の安定がなければ必要なこと、大事なことを前に進めることができない」と訴え、支持を求めた。(田村龍彦)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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