安倍晋三首相(65)は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言について、継続していた北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の計5都道県を解除すると表明した。安倍首相は首相官邸で記者会見し、「解除基準を全面的にクリアした」と述べた。4月7日に始まった緊急事態宣言は49日間で終了した。今後は各地域ごとに外出自粛、休業要請の緩和、学校再開を決める。
「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で今回の流行をほぼ収束させることができた」。安倍首相は「日本モデル」による感染症対策が成功したと胸を張った。
4月7日から続いた緊急事態宣言は感染者が多かった北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川で解除された。新規感染者が1日で50人を下回り、入院患者も2000人を切ったとし「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアした」と判断した。ただし、「直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0・5人以下」という目安を北海道と神奈川県が満たしておらず、経済再生を優先して見切り発車した形だ。
「コロナ時代の新たな日常を作り上げていく」。政府は宣言解除後も密閉、密集、密接の「3密」回避やマスク着用などの「新しい生活様式」や満員電車を減らすためにテレワークの定着を図る。社会経済活動の本格再開を支援するため、自治体向け臨時交付金の拡充などを盛り込んだ2020年度第2次補正予算案を編成し、今国会中の成立を目指す方針。安倍首相は他国と協力し、ワクチンや治療薬の開発を急ぐ考えを示した。
ただ、安倍首相は2度目の緊急事態戦宣言の発令についても言及した。専門家は秋から冬にかけて第2波、第3波の流行が起きる可能性を指摘している。安倍首相は「身の回りにウイルスは確実に存在している。ひとたび気を緩め、ウイルスへの警戒、感染予防を怠った途端、一気に感染が広がっていく」と指摘。「最悪の場合には2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある。しかし、外出自粛のような社会・経済活動を制限するようなやり方はできる限り避けたい。市中感染のリスクを大きく引き下げていけば、それが可能になる」と見通しを語った。
スポーツや文化イベントの再開についても「日常を少しずつ段階的に取り戻していく」とし、観客数を段階的に増やしていく方針を示した。来年7月に延期した東京五輪・パラリンピックについては、国際オリンピック委員会(IOC)などと協議を進めているとし、「長期戦を覚悟しなくてはならない。人類が感染症に打ち勝った証しとして完全な形で東京大会を開催したい」と述べた。
報知新聞社
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