西田慎介、神野勇人
福岡県中間市の双葉保育園で園児がバスに閉じ込められて死亡した事故を受けて、県と中間市は31日、同園を運営する社会福祉法人に改善勧告を出した。事故防止や安全対策などが不十分だったと指摘し、再発防止に向けたマニュアルの見直しなどを求めた。
園児の倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)は7月29日、登園時に乗ったバスの中に取り残され、熱中症で死亡した。県と中間市は8月2日から合同で特別監査を実施し、園長を含む職員24人から聞き取りなどを行っていた。
勧告では、園長が施設長として統括的な役割を果たしていない▽保育中の園児について職員間の連携が不十分▽園全体で事故防止に向けた研修などが未実施――など7項目が県条例や国の指針に反すると指摘。園長や主任らの責任の明確化や、保育提供体制の構築、登園時の出欠確認のルールの見直しなど5項目を9月24日までに順次実施し、県と市に報告するよう求めた。
県と共に改善を勧告した中間市の福田健次市長は記者会見を開き、「(我々が)見落としていたものを冬生君が教えてくれたのではないかと思う。(死を)絶対に無駄にしてはいけない」と述べた。今後、保育現場の声を踏まえた総合的な安全管理マニュアルを作る方針という。
市によると、双葉保育園からの転園希望数は32人(8月30日時点)で、うち14人の受け入れ先が決まっていないという。福田市長は「(市立)保育園で新たに保育士を雇用することも考えている」とし、園児のケアを急ぐ考えも示した。
社会福祉法人の理事長は弁護士を通じて「改善勧告を厳粛に受け止め、指摘事項及び勧告内容について改めて十分に検討したうえ、再発防止、園の信頼回復に向けて適切に対処していく」とコメントした。(西田慎介、神野勇人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル