安否不明者数、なぜ一気に増えた 混乱のなか…県は「空振り恐れず」

 最大震度7を観測した能登半島地震では、連絡のつかない人が数多く出ている。安否をどう把握し、いつどのように公表するか。命を救うために迅速さが必要な一方、正確さに課題もある。被災した自治体が、混乱のなか模索している。

 石川県は安否不明者について3日深夜から、氏名、住所(大字まで)、年齢などの公表を始めた。当初発表されたのは15人だったが、随時更新し、4日夜に179人、5日朝には242人と一気に増えた。県によると、発表後に死亡が確認された被災者もいる。

 安否不明者の住所に記者が向かった。

 男女3人が住む穴水町の民家で4日、救助活動が続いていた。裏山からとみられる土砂が流れ込んで1階部分が崩れていた。

 一方、珠洲市三崎町の井坂庄七さん(77)と妻の恵子さん(72)宅を5日午前10時ごろ訪ねると、損壊した自宅を自分たちで片付けているところだった。

 同町では3日夜から携帯電話の電波が途絶え、安否を伝える手段がなく、電波のある場所へ移動する余裕もなかったという。安否不明者になっていることを知り、庄七さんは「大ごとになっちゃったなあ」とつぶやいた。

 輪島市でも同様の例があった。4日午後に不明者一覧に掲載された50代夫妻の行方を捜すと、夫妻の自宅近くで掃除をしていた男性が「あれ、その2人はうちの家族と一緒に避難したって聞いたけど……」。その後、別の友人を通して、2人の無事を確認した。

 県は現時点では死者や行方不明者の氏名は明らかにしていない。こうした中、安否不明者の公表に踏み切ったのはどうしてなのか。

 県危機管理監室によると、リストは市町からの報告のほか、県に問い合わせがあった情報を基に作成。昨年5月、速やかに捜索や救助を進めるため、家族の同意なく公表できるようにした。

 飯田重則・危機管理監は「空振りを恐れず、情報を出し、(安否不明者が無事で)おいでだったらおいでだったでそれが一番いい」と話す。

 周囲に知人がいない、旅行や出張中の人が被災することもある。安否不明者のリストにいったん載った岡山市在住の夫妻2人は、リスト公表後、能登町内の小学校に避難していることが分かった。岡山県危機管理課の担当者は「安否不明者の公表は他県にとってもありがたい」と言う。

 「安否確認は最重要課題とし…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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