安田菜津紀さん、ウトロ平和祈念館は「記憶を刻み、語り合う場」

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聞き手・富永鈴香

 京都府宇治市に在日コリアンが集まって暮らす「ウトロ地区」があります。地区の歩みを伝える交流施設「ウトロ平和祈念館」が2022年4月30日に開館し、1年が過ぎました。開館前の21年8月には、地区内で放火事件が起きました。逮捕、起訴された男は法廷で「韓国人に対して敵対感情があった」「祈念館の開館を阻止することが目的だった」と語りました。放火事件の前から地区を訪れていたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんに、祈念館の存在意義について聞きました。

 ――初めてウトロを訪れたときの話を聞かせて下さい

 「ウトロに出会ったきっかけは、家族のルーツを巡る旅でした。中学2年のときに父が亡くなり、戸籍を見て初めて、父が在日コリアン2世であると知りました。『語れなかった理由があるのではないか』。古い証拠を集め、家族の生きた痕跡をたどるようになったのがこの2~3年ほど。その中で父が京都で生まれたことがわかりました」

 「祖父母や父が直接暮らしていたわけではないけれど、京都で在日コリアンの人たちがどうやって生きてきたのか知りたいと思い、ウトロ地区を訪れ、金秀煥(キム・スファン)さん(現・ウトロ平和祈念館副館長)に話を伺ったのが2020年9月でした」

 ――放火事件の約1年前ですね。現場で印象に残っていることは

歴史の一端に触れ、背筋伸びる思いに

 「旅でたどった地では、必ず…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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