広島と長崎の原爆の破壊力「大きな差がない」
1945年、広島と長崎に投下された原子爆弾。
この2発によって、約21万人の命が奪われた。 【画像】東大で保管されている広島と長崎で被爆した石や瓦 それぞれの原爆の爆発力は、原爆資料館によると、広島がTNT火薬16kt(キロトン)、長崎は21ktに相当。
このほかの研究でも、これまで長崎の原爆の破壊力は、広島を大きくしのぐものとされてきた。 ところが今回、その内容を大きく覆す研究結果が新たに発表された。 「はじける石・泡立つ瓦」より
広島の原爆も長崎の原爆も爆発のエネルギーには大きな差がない 本を書いたのは、東京大学の田賀井篤平名誉教授。鉱物学が専門だ。 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
広島と長崎が、今まで言われているように1.5倍の差ではなくて、もっと差が少ないと結論を付けた 田賀井名誉教授が根拠としたのが、“石の記憶”。
東京大学には、広島と長崎で被爆した石や瓦140点が大切に保管されている。 これらの資料は、国の原爆調査団の地学班を率いた東京大学の渡辺武男教授のグループが、原爆投下後に現地を調査して集めたもの。 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
これは(爆心地)島病院の筋向かいにあった清病院の屋根瓦です 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
緑色に緑化して溶けている。この部分、中は全く変化していない。表面だけ変化している。これが原爆の熱線の最大の特徴です 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
要するに3,000度ぐらいの温度を1.何秒間ばっと照射すると、中まで溶けない。瓦は、爆心地に近いところでは泡立ってしまう。これは、「蒸発」という現象なんですね。もうちょっといくと溶ける…これは「溶融」という現象。もうちょっと遠くへ行くと、何も起こらない。それが、うまく距離と整合性があるようにサンプルが取れれば、原爆のエネルギーを地点・地点で一番追っかけていくことができる。それが鉱物なり、石の一番の利点なわけです
爆心地から採取地点の距離に「大きな間違い」
原爆調査を行った渡辺教授のフィールドノート。
石や瓦を採集した場所や爆心地からの距離、被爆の状態など当時の状況が、くわしく記録してある。 渡辺教授は、このフィールドノートをもとに原爆被害の報告書をまとめた。
広島原爆戦災誌には、その報告書をもとに「瓦は爆央から半径600メートルの円内では表面が溶融して泡立ちを示していた」と書かれている。
瓦が溶ける距離は600メートル以内と結論付けられた。 ところが、田賀井名誉教授が10年を費やしてフィールドノートを見直したところ、あることに気付いた。 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
どこまで瓦が溶け、どこまで花こう岩がはじけているか。この2つに絞って渡辺先生の調査をもういっぺん繰り返してみたんです 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
われわれも現地に行って、渡辺先生のノートをもういっぺん見ていくと、何か今まで言われたことより違っていた。しかも原稿を見てみると、先生間違っていた。距離がですね。どうして間違ったかわからない。長崎は間違ってないんですけど、広島は非常に大きな間違いをしている 渡辺教授による報告書の下書き。
県庁前で採取した瓦は爆心地からの距離580メートル、「極めて軽微な瓦の熔融」、師団司令部で採取した瓦は爆心地からの距離600メートル、「瓦に多少の焼け」と記されている。 東京大学・田賀井篤平名誉教授:
県庁前なんですが、そこを580メートルと書いて計算してあるが、実は県庁は850メートルなんですね。距離が違う。それから師団司令部600メートルと書いて、これが800メートルなんです。そうすると850メートルや810メートルというので瓦が溶融している、その限界であるということから、今まで言われている600メートルというのは少し違うんじゃないかと
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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