宝塚歌劇団の元星組男役、七海(ななみ)ひろきの挑戦が止まらない。スタイリッシュな舞台姿と愛らしい人柄で人気を集め、今年3月に惜しまれつつ退団。この夏、キングレコードからメジャーデビューし、作詞や作曲、声優など新たな世界に挑んでいる。
8月21日に発売したアルバム「GALAXY」では、オリジナル曲の作詞を手がけた。低くて艶(つや)のある声と柔らかな声を使い分け、多彩な楽曲に挑んでいる。「男性のキーは、私には低い。かといって、浜崎あゆみさんのようなハイトーンはイメージと違うと思ったので、その中間の、女性でも男性でもないところを表現できたらと思いました」
2003年に宝塚歌劇団に入団。同期には、花組トップスターの明日海(あすみ)りお、雪組トップスターの望海風斗(のぞみふうと)ら、個性豊かなスターがそろう。「同期が頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと励みになっていました」。そして、自身が追究し続けた「男役」のことを「ときめき、恋する存在」と表現する。
宙(そら)組と星組で様々な経験を積み、今年3月に宝塚に別れを告げた。「宝塚というところはさよならするけど、表現することは、やり続けたいと思っていました。退団したので『男役』とはまた違うのですが、人間として『格好いい! 素敵だな』と思ってもらえるような存在でいたいです」
来年1月には、声優として参加するアニメ「ソマリと森の神様」の放送が始まる。水瀬いのり、小野大輔らと共演し、自身は子鬼のシズノを演じる。「私には元々、タカラジェンヌになりたいという夢と、声優をやりたいという夢の両方がありました。宝塚を究めピリオドが打てたと思ったので、もう一つの夢をかなえたいなと思いました」
声優への挑戦について「性別も年齢も超えられますし、人間じゃないものにもなれる。経験を積んで、幅広い役ができるようになりたい」と話す。「男役ではなく、新しい無印の七海ひろきとして、これからどんな自分に出会えるのか楽しみです」(杢田光)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル