兵庫県宝塚市の宝塚大劇場そばに1日、宝塚市立文化芸術センターがオープンした。宝塚ゆかりの美術家や建築家ら6人の仕事を見せる開館記念展が開かれている。
例えば、1960年代後半から70年代初頭の「もの派」と呼ばれる美術動向の中心メンバーで、宝塚大学学長を務めた小清水漸(すすむ)。今展で並ぶ、木の板の木目や質感を生かしながら幾何学的なパターンを削り出す「表面から表面へ」と「作業台」はいずれも、「もの派」を離れた1971年以降に確立した代表シリーズだ。
拡大する小清水漸の展示室。「作業台―表面から表面へ―」(2016年・手前)、「レリーフ―表面から表面へ―」(18年)=2020年6月、兵庫県宝塚市武庫川町
前衛美術集団「具体美術協会」時代は、素材感や画家の行為の跡を強調する「アンフォルメル」(不定形)の作家として知られた元永定正も、今日ではむしろ60年代後半以降のユーモラスな作風で親しまれる。没後、長く居を構えた宝塚市に寄贈された「具体」脱退後の版画作品50点は、簡潔な形と色、タイトルの無心な言葉選びが楽しい。最晩年の作品ではそこに初期のたらし込みの技法が融合し、集大成の趣を見せる。
拡大する元永定正の後期の版画作品を集めた展示室。「さゆうのまるはみっつずつ」「だえんとだえんしろいひかりはしたのほう」といった作為のないタイトルが、画家のまなざしを表しているようだ=2020年6月、兵庫県宝塚市武庫川町
「世界に名だたる『もの派』や…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル