宝塚歌劇団、非日常の世界の内実 心からの笑顔取り戻すために

記者コラム 「多事奏論」 文化部(大阪)記者 河合真美江

 スパンコールいっぱいの衣装がライトを浴びてきらめく。何よりまぶしく光を放つのは、舞台に並ぶ約70人の笑顔だった。9月28日、宝塚歌劇団兵庫県宝塚市)の宙(そら)組公演の通し舞台稽古を宝塚大劇場で取材した。2日後、その舞台にいた25歳の劇団員が亡くなっていた。

 舞台の残像が何度も浮かび、うちのめされた。痛ましい死の背景を追いながらタカラジェンヌの笑顔の裏にあるものの重さをかみしめている。

 私が初めて宝塚歌劇を見たのは小学6年生の時。そろそろ初潮で、女という性のままならなさに揺れていたころだ。目の前がぱ~っと開けた。男役も娘役も、おねえさんたちがかっこよく自分を表現していたから。

 様々な取材をしてきて、宝塚ファンに女性が多い理由が身にしみてわかった。日本はまだまだ男性が決定権を握る社会で、家庭のことは女性がおもに担うという意識が強い。この現実に立ち向かうため、パワーを得る非日常の場がいるのだと思う。舞台で成長する若い女性の姿に喜びを重ねる面もきっとある。

 でも、その非日常の世界の内…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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