宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が先月末に死亡した問題で、歌劇団の木場健之(こば・けんし)理事長は7日、記者団の取材に応じ、外部の弁護士らでつくる調査チームを立ち上げたと発表した。
木場理事長の発言や、記者との主なやり取りは次の通り。
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このたびの生徒の急逝につきまして、謹んで心より哀悼の意を表します。また、お客様ならびに関係者のみなさまに大変ご心配をおかけしていることにつきましても、深くおわび申し上げます。大切な仲間の命が失われてしまったこと、これは極めて重大なことと厳粛に受けとめております。誠に無念でなりません。
これまで、ご遺族のお気持ちに寄り添いながら、宝塚歌劇団生徒の体調も含めた安全を第一に考え、対応をおこなってまいりました。
急逝した生徒の名前につきましては、公表を控えてほしいというご遺族の強いご意向を尊重することが大切だと考えておりまして、お知らせすることができないことを何とぞご理解たまわりたく存じます。
今後、なぜ今回のようなことが起こったのか、一部報道されている事柄についても、きちんと調査したうえで、改善すべきことにはしっかりと取り組まなければならないと考えています。
そこで、調査チームを立ち上げまして、外部の弁護士の方々にご参加いただき、生徒の心情にも十分配慮しながら、関係者のヒアリングや調査をおこなっていきます。これらの事実の把握や改善にはできるだけ早く取り組んでいきますが、いましばらくお時間をいただきたいと考えています。調査の結果につきましては、しかるべきときに情報発信させていただきます。
また、生徒一人ひとりの心のケアにつきましては医師や専門家にも依頼し、対応に努めているところです。
宙組の宝塚大劇場の休演を22日まで延長することを発表します。生徒の体調と心のケアには引き続き配慮していきます。
なにとぞ、ご家族、ご親族の深い悲しみにご配慮いただきますようお願い申し上げます。
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――亡くなった劇団員の方、ご遺族、現役生への思いは
夢と希望を持って宝塚に入ってきて、日々公演や稽古に打ちこんできた生徒の命が失われてしまったことはあまりに悲しく、残念で、いまだに受けとめきれない思い。なぜ、そういう道を選ばなければならなかったのか。私たちがそこまでできることはなかったのか。今後、二度とこのような悲しい事態が起きないよう、何をすべきなのか、しっかり取り組んでいきたい。
――今年2月、劇団員の上級生が下級生にヘアアイロンをあてる「いじめ」があったとする週刊誌の報道があった。「いじめ」の被害者として報じられた劇団員は、このたび亡くなった方だと推定される。週刊誌の報道の後、どのような調査をしたか
両当事者にそれぞれ聞き、まわりの方々にも聞いた。上級生から下級生へ髪形のアドバイスをするのはよくあることで、教えている際にあやまって当たったことはあると両方から聞いている。記事にあるように、長時間にわたって故意に押しつけたという状況ではなかったと認識している。その後も当事者のフォローには努めた。
――具体的に、どのようにフォローしたのか
常駐のナースがおり、24時間いつでも相談できる窓口もある。悩みがあれば相談できる体制は整えていて、積極的な活用の呼びかけもしていた。本人が実際に相談したかどうかは守秘義務があるので、我々は把握していない。各組にプロデューサーがいて、日々接触して状況を見ていて、声がけも日常的に行ってきた。
――今回設置した調査チームは、具体的にどのような態勢になるのか。ヒアリングの対象は
外部の方にヒアリングしていただいた方がいいだろうと、阪急電鉄とは接点がなかった弁護士事務所と話をさせてもらい、ヒアリングに入っていただくことになった。いま公演が止まっている宙組の出演者全員に対して、順次行っていく。宙組公演は今月22日までの公演中止を発表しており、その間で早急にヒアリングをやっていきたい。必要があれば、他の組などに、範囲を広げていきたい。
――主にいじめの有無を調査していくのか
ひとりの生徒が命を失うことが起こってしまったその背景に、何があったのか。きちんと調べていく必要があると思っている。実際どこまで迫れるのか、というところはある。それでも、日々のなかで、何が問題だったのか。予見を持たずに調査、ヒアリングをしてほしいと思っているので、我々も質問内容には立ち入らないし、ヒアリングの場にも同席しない。そこで自由に、出演者のほうから思いを全て語っていただいて、今後どうしたら、出演者たちが安心安全に公演を務めていけるのか、お客様にとっても安心してご覧いただけるのかということを、探っていきたいと思っている。
調査が終わったら、なにかしらの形で情報発信はすることを考えている。方法については検討させていただきたい。
――調査結果次第で、歌劇団の現状をどこまで是正する可能性があるか
単純に、提言通りにすべて変えていくというわけではなく、提言の趣旨を生かしながら、宝塚歌劇としてはどういったかたちでお届けしたらいいか検討していきたい。(田部愛、河合真美江)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル