実在の女子高生装い「襲って」SNS信じて実行した男性の罪は…強制性交未遂なら“襲わせた男も無罪”の可能性も(関西テレビ)

強制性交未遂の疑いで逮捕された京都市の会社員・奥瀬智成容疑者(26)。

 スポーツクラブの教え子だった女子高校生になりすまして、SNSにとんでもないメッセージを書き込んでいました。

<女子高校生になりすました書き込み>
「無理やり襲ってください」

 奥瀬容疑者は2018年、女子高校生の名前を使ってSNSに「レイプしてください」などと書き込みました。

 そして、書き込みを信じた34歳男性に、女子高校生の住所や顔写真などを無断で教え、2回にわたり路上で背後から襲わせた疑いが持たれています。

 女子高校生が抵抗したため、犯行は未遂に終わりました。

<奥瀬容疑者の供述>
「相手にされなかったのでやった」

 警察によると、奥瀬容疑者はこれまで女子高校生をデートに誘っていましたが、無視されていたということで、警察が経緯を調べています。

母親:
「(娘を見て…)SNSやってるもんな」

娘:「怖いな…」

母親:
「フラれて腹いせでしかないってこと?そんなん言われてもなぁ、知らんやんな?」

女性:
「そんなことできるんや…なりすましとか。(犯罪を)誘導してるというか、指示してるから罪じゃないの?」

連れの男性:
「実際に(犯行を)起こすかどうか分からないから、書き込んだとしても『冗談でアップしてました』って言ったら、分からへんのちゃうかな」

別の女性:
「女子高生を売ったみたいな感じですよね。襲った人も罪になると思いますけど、両方の男の人が罪になると思います」

 SNSを使った“なりすまし”は、どこから罪になるのか。そして書き込みを信じて犯罪に加担した場合、どんな罪に問われるのか…。菊地幸夫弁護士に伺います。

Q.今回のなりすましは、女子高生のSNSを乗っ取ったわけでなく、別のアカウントを同じ名前で作って、その女子高生を騙って「無理やり襲ってください」というメッセージを送ったそうです。そもそもは好意を持っていたのに拒否された腹いせだということです。そうとは知らなかった34歳の男性は、女子高生がその気だと信じ込んで、恐らくは実行に移しました。今のところ、逮捕されているのは奥瀬容疑者のみです。

菊地弁護士:
「実際、路上で2回抱きつくという行動を起こしたのは34歳の男性です。法律上は実行した『正犯』という呼び方をします。一方で逮捕された男はきっかけを与えた『共犯』。つまり犯罪の決意をしていない人をそそのかして決意させた教唆ということになります。これで正犯と共犯、ぴったりくるような気がするのですが、それで済むかどうか…ということなんですね。

 というのも、実行した男性の方は女子高生が同意してると思っているんですよ。襲ってくださいと承諾があるから行ったと。もし本当に承諾があって、無理やりでなく相手がOKしているとなると、これが犯罪行為かどうなのか。罪名が強制性交未遂だとすると、強制でなければ成立しません。では今回の件は強制なのでしょうか。

 中には例えばSMクラブとかですと、ムチで打つと傷がつきます。ロウソクを垂らすとヤケドもします。でもそれは同意の上で犯罪ではないんですね。重傷だと別ですが、暴行とか軽い傷害というのは相手に承諾があると犯罪が成立しない可能性が十分にあります。

 そうしますと、今回の件で強制性交未遂という罪で正犯が成立しないとなると、日本の法律では正犯がなければ、共犯(奥瀬容疑者に今回疑いが持たれている犯罪)が成立しない。こういう法律構成なんです」

Q.仮に実行した男性の方は、思い込んでやってしまいました…だとしても、教唆のほうの男は悪意しかないですよね?

菊地弁護士:
「例えば、17歳で未成年ですから、別の罪名でやって正犯を何とか成立させて、その教唆などですね。しかし、強制性交未遂という罪でいくと、実行した方に犯罪が成立しないかもしれません。慰謝料とか民事では違法なことは間違いありません。ただ刑法上の理論的な犯罪が、正犯と共犯ということで成立するかというと微妙な問題になってきます」

Q.ところで、そもそも“なりすまし”ということは罪になるのでしょうか?

菊地弁護士:
「書き込みの内容次第で、名誉棄損の罪になる可能性があります。なりすまし自体が違法かといえば、褒められたものではありませんが、裁判所はそれが違法だとはそれほど考えていないと思います。

 ただ、実際の氏名を使うと、氏名の冒用、勝手に使うということで違法となり得まして、慰謝料の対象にもなります。

『私ですよ~』と言うだけだと、これはあまり問題になりませんが、それでも相手の名誉を棄損するようなことを書き込むと違法になる可能性があります」

(関西テレビ2月26日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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