実娘への準強制わいせつ、二審も無罪 被害証言「信用できず」

仲川明里

 就寝中の実の娘(当時14)への準強制わいせつ罪に問われた30代の父親の控訴審判決で、名古屋高裁は18日、無罪とした一審判決を支持して検察側の控訴を棄却した。杉山慎治裁判長は「(被害者の)証言の信用性を認めなかった一審判決は正当だ」と述べた。

 この裁判は異例の展開をたどった。2020年11月に津地裁四日市支部は「被害者の証言は高い信用性を有する」とし、懲役3年6カ月の実刑判決を宣告。だが21年3月の名古屋高裁は「審理が尽くされていない」として差し戻した。差し戻し審の津地裁は昨年5月、一転して無罪を言い渡した。

 この事件では客観証拠はなく、被害者証言の信用性の評価が焦点だった。差し戻し審は、被害に遭った当時の状況について捜査段階や公判などで被害者の証言が変遷している点を問題視して無罪を導いた。これに対し、控訴審で検察は「以前から日常的に被害を受けていた」とした上で、起訴内容の被害とそれ以外とを区別して話すことは難しいと指摘して「変遷は無理はない」と反論していた。

 この日の判決は、起訴内容で示した時期より前に被害を受けていたかは認定できないと判断し、検察の主張を退けた。その上で、被害者証言の信用性を認めず、被告の犯行を認めなかった差し戻し審の判断を正当と結論付けた。

 名古屋高検の山田利行次席検事は「判決内容を慎重に検討し、今後の対応を決定したい」とコメントした。(仲川明里)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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