客足戻ってきた「ふれる博物館」 コロナ下の逆風、でも閉じなかった

江戸川夏樹

 展示品に心ゆくまで触ってくださいという博物館が東京・高田馬場にある。「ふれる博物館」。日本点字図書館が2018年に設立した。視覚障害者を中心に、誰もが無料で利用できる。だが、「ふれる」ことに過敏となったコロナ下で、博物館の来場者は5分の1となった。

 博物館の入り口には、レオナルド・ダビンチの絵画「最後の晩餐(ばんさん)」の模型版がある。イタリアの作家が創作し、世界に3個しかないという。

 「テーブルクロスのしわも指で感じる。細かい描写で描かれた絵画だと、模型を通して知った」と視覚障害者に評判だった。

 「視覚障害者にとって、ふれることは見ること。ふれなければ生活できない」と伊藤宣真館長は言う。コロナ下で当たり前となったソーシャルディスタンスも、視覚障害者にとっては距離感がわからない。

 博物館はコロナ下でも予約制にして、展示を続けた。「好きにふれていい、そして、外に出るきっかけになる場所を作りたかった」

 現在はコロナ前の客数が戻りつつある。

 3月18日まで、企画展「石を感じる」を開催中。アンモナイトや地域ごとにさわり心地が異なる軽石、南極の石もふれ放題だ。

 視覚障害がない人も、「ふれることで新しい発見がある」と訪れているという。

 開館は毎週水、金、土曜の午前10時~午後4時。電話(03・3209・0241)で事前の予約が必要。(江戸川夏樹)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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