2日午前11時56分ごろ、島根県安来(やすぎ)市宮内町のアパートの一室で、この部屋に住む小学4年の男児(10)と母親の40代の女性が血を流して倒れているのを、警察官が見つけた。男児は死亡が確認され、母親は意識不明の重体。アパートには鍵がかかっており、警察官が窓を割って室内に入り、2人を発見したという。
県警などによると、男児は11月25日に児童相談所の一時保護が解除されたばかりだった。
男児が12月2日に登校しなかったことから、学校が市教育委員会に連絡。市の職員が男児のアパートを訪問したところ、応答がなかった。郵便受けから中をうかがうと、室内に血のようなものが見えたことから、警察に通報したという。
母子は父親との3人家族だが、父親は入院中のため2人で暮らしていたという。
島根県中央児童相談所(松江市)によると、安来市から9月10日、「母親による身体の虐待とネグレクト(育児放棄)の疑いがある」と通告を受け、翌日、男児を一時保護した。
児相は施設への入所を提案したが、母子ともに同意しなかったといい、「生命の危機が懸念されるほどではなかった」として11月25日に一時保護を解除したという。その後は電話をかけるなどしながらフォローしていた、としている。
近所の女性(71)は「(男児は)いつもニコニコあいさつしてくれていた」と話した。
児相「保護解除後も手厚い態勢」
島根県中央児童相談所は2日夜、県庁で会見を開いた。太田均所長は「事件は予見できなかった。保護を解除した後も手厚い態勢を取っていた。非常に残念で、対応は適切だったと考えている」と繰り返した。
母親は主にネグレクトがみられたといい、母親が食事の支度をしないときは、男児に1人でコンビニに弁当などを買いに行かせていたという。
保護当時、母親も精神的に不安定な状態だったが、男児は状態が落ち着いてからは自宅に帰りたがっていたという。身体的虐待については、太田所長は「男児から1回だけたたかれたと聞いたが、保護した当時、あざや傷はなく、生命に危険が及ぶような身体的暴力はほぼないと判断した」と説明した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル