宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」公開 予告編もCMも宣伝もなし

 宮崎駿監督10年ぶりの長編映画「君たちはどう生きるか」が14日、全国公開された。昨年12月に宮崎監督描き下ろしのポスターを1枚発表したのみで、宣伝は一切しない異例の興行。作品は、疎開や空襲体験など宮崎監督の自伝的要素を盛り、不思議な屋敷の塔に主人公の少年が入り込む冒険ファンタジー。

 予告編もCMも公式サイトもなし。試写会を行わず、場面写真を公開せず、パンフレットは「後日発売予定」。ないない尽くしの宣伝について、製作したスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーは「作品の内容を出し過ぎる宣伝は見る人の興味をそぐ気がした。この情報の時代、情報のないことがエンターテインメントになる。そう信じてやってみた」と語る。

 国民的人気で興行記録を塗り替えてきた宮崎アニメならではの大胆な戦略について、宮崎監督は「鈴木さんを信じる。でも宣伝がなくて大丈夫かなあ?」と心配していたという。

 東京都内最大級のシネコンとして知られる「TOHOシネマズ 日比谷」(千代田区)には、朝から多くの観客がつめかけた。配給の東宝によると、同館で最も早く上映した回のチケット(341席)はほぼ完売だったという。

 公開初日にあわせ、「多くの観客が集うであろう日比谷でみたかった」と介護職員、佐藤喬宣さん(43)は居住地の徳島市から駆けつけた。「考えさせられる内容。ただ、子どもでも楽しく見られるのでは」と話す。「今は公開前から作品の世界観がなんとなく分かってしまう宣伝が多い。情報化社会のなか、宣伝されないことで期待値がどんどん膨らみましたし、こういう戦略はアリでは」と語った。

 静岡市からきたという静岡英和学院大の毛利康秀教授(55)も初回で鑑賞。「宮崎監督の過去の作品の世界観が盛り込まれていて、すごいものをみた感覚」と興奮気味に語った。宣伝については「ジブリじゃないとできないでしょう」。

 若い観客はどうか。

 千葉県船橋市の高校2年の女…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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