新型コロナウイルスの家庭内や病院内での感染を防ぐ簡易的な隔離シェルターを、三重県の会社員が中心となって開発した。感染拡大が収まらないなか、「少しでも早く世に送り出したい」と、1カ月ほどで開発。費用は原価で約4万円に抑え、商品化をめざす。
開発したのは、大手電機メーカーに務める北村裕紀さん(51)=三重県明和町=ら有志5人。プラスチック製の枠組みを透明なビニールで覆い、空気循環のための換気扇をつけた。飛沫(ひまつ)感染を防ぐことを最大の目的にしたという。
北村さんによると、空気の循環で感染を防ぐ仕組みはすでにあったが、換気扇のサイズが大きく、コストもかさんで一般家庭用向きではなかった。開発したシェルターは換気する空間をできるだけ狭め、低コストで作れるのが特徴。縦210センチ、横100センチ、高さ105センチで、シングルベッドがちょうど納まるサイズにした。
人が寝たときの腰の上のあたりの位置を境に、ビニールでシェルター内を区切った。息をする空間のみを換気することで、効率的に空気を循環させるという。
全国で感染者が急増してきた3月上旬に着想。家庭内での濃厚接触が感染の一因になっている問題点に目をつけた。家庭内だけではなく、医療機関の病床や、人が密集して感染拡大のリスクが高くなる体育館の避難所など災害時の活用も想定する。
北村さんは「今は一刻が争われる状況で、誰もが感染のリスクを負っている。シェルターを使って命を守ってほしい」と話す。
商品化に向けて協力する事業者を募っている。問い合わせは開発メンバーの田中宏和さん(090・3252・3898)。(大滝哲彰)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル