74年前、6歳のいつこちゃんは家族とはぐれ、中国大陸を徒歩や牛車で400キロ進み、引き揚げ船に乗った。命をつないだのは、軍から提供されたおにぎりと寝床。今夏、80歳になった飯嶋伊津子さん=茨城県稲敷市=は、捜し続けた恩人で引き揚げに関わった陸軍少佐の墓参りを果たした。(小島弘之)
寒風で砂が舞う畑道を、歩き続けた。20日間、顔も洗わず着替えもしない。追いはぎに手を引っ張られると、叫んで逃れた。まばらに、だが少し離れたところにいた日本の軍人が守ってくれた。
「置いていかれちゃいけない。その時の気持ちがずっと胸に刻まれているの」
1946年2月、当時6歳だっ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル