家族を撮るヤン・ヨンヒ 平壌に生きる兄の言葉の重み

 自身の家族を描いた作品で知られる映画監督のヤン・ヨンヒさん(55)。大阪の朝鮮総連幹部だった父は、ヤンさんの兄たちを「帰国事業」で日本から北朝鮮に送った。今も平壌(ピョンヤン)で暮らす兄に迷惑がかからないか気にかけつつも、二つの国に引き裂かれた家族の姿をドキュメンタリー映画として世に出すと意を決して兄に告げた。その妹に、兄が返した言葉とは。

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 たいていのことには驚かないと思っていたが、いくら病気でも「まさかこんなことが」と愕然(がくぜん)としたのは、昨年初めのことだった。母が主人公の新作ドキュメンタリー映画を撮影中のことである。

 「お兄ちゃん、どこに行った。朝ご飯食べて出て行ったやろ?」

 ことし88歳の母は、アルツハイマー型認知症で「帰国事業」のことを忘れてしまっていた。

兄は「帰国事業」で北朝鮮へ

 母と、大阪の朝鮮総連幹部の父…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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