阿部峻介、市原研吾
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の信者の中には、なぜ多額の献金をする人がいるのか。褒め立てられ、気持ちよくなっていると、家系図を作られ、「先祖が呪われている」と言われ……。億単位をつぎ込んだ元信者と、勧誘する側にいた元信者の証言をもとに、その実態や心理を追った。(阿部峻介、市原研吾)
大阪市内に住む90代の女性が、旧統一教会の勧誘を受けたのは2004年の夏ごろのことだった。
当時住んでいたのは、奈良県内の庭付きの一軒家。庭の草取りをしていると、2人組の女性から声をかけられた。
「きれいやねえ」
手入れをしている植物のことをほめられ、立ち話をした。「ほしいわあ」というので、一部を切ってあげた。
数日後、また現れた。「また?」と思いながらも、悪い気はしなかった。家族との確執で常に気分が重かった。他人には言いづらい長年の悩みを、2人は大きくうなずきながら聞いてくれた。
「気付けば、椅子に腰かけた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル