家食増えるいま聞きたい 土井善晴さんの「一汁一菜」

 料理番組「おかずのクッキング」などの講師として知られ、「素材のレシピ」など多数の著書がある料理研究家の土井善晴さん(63)は、シンプルなレシピや「一汁一菜」を提案する。新型コロナの感染拡大防止のため、家庭で食事する機会が増えている現在、土井さんに家庭料理の大切さや毎日の料理を楽しむコツなどを聞いた。

――2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録された時、「日本の食文化を担ってきたお母さんやおばあさんの家の仕事(家事)を正しく評価しないといけない」と話しました。その真意は?

 テレビもラジオも、日本の食文化を担ってきた日本のおばあちゃん、お母さんにマイクを向けることはなかったんですね。認定理由の「油脂を使わない健康的な料理」や「行事を暮らしに取り込んだ料理」をみても、世界無形文化遺産の評価の対象が家庭料理に向けられていることがわかります。プロの料理人は、あなたの健康を考えませんから。だから、日本料理でなく「和食」と言っているのです。多くの人が和食が世界無形文化遺産になったのは、京都の料理屋などの料理人のおかげ、と思っているのは残念です。

――「日本のお母さんが毎日やってきことは、フレンチのシェフに値するぐらいの仕事だ」とも言っています。

 お母さんたちは毎日、何を作ろうかと考えて、一生懸命、テーブルいっぱいにたくさんの品数を並べてきた。一番大変なことは、「何を作ろうか」と考えること。プロの料理人にとっても「献立を変えること」が一番エネルギーを使うことです。いつも同じが一番楽ちんですから。それを毎日やっていたのですから、日本の主婦はたいしたものだと思います。

 昭和の高度経済成長の時、日本中が豊かになる中で、だれもが一生懸命、競うようにお料理したのですが、それが理想の母親像になっていたのだと思います。専業主婦として、家を守る、家族を支える、ことに労を惜しまないということで、実現できました。そういった風潮によって男社会を支えていた。

 ところが、社会の大きな部分を…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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