事件の際に防犯カメラに映った自転車の車種を特定し、画像で再現するという捜査手法を警視庁が開発し、成果を上げている。データベースも構築され、各地の警察が使う。開発のきっかけは、1人の捜査員のある小さな特技だった。
防犯カメラの動画、画像を分析し、サドルやフレームなどの形や色、部品の組み合わせからまず車種を特定する。その後、破損やカスタムなど車体固有の特徴を加味し、事件で使われた自転車を再現する。カメラの動画像では不完全だった車体全体が、はっきりと浮かび上がる。
警視庁がこうした捜査手法を導入したのは2014年。以来、ひったくりや性犯罪など、事件で使われた自転車の車種特定が進む。分析対象にした自転車の約6割で発見に至るという。
最近では、特殊詐欺で被害者から金を受け取る役の「受け子」や、放火事件の容疑者らが現場まで乗っていた自転車を特定し、容疑者の割り出しにつながった。
自転車産業振興協会によると、22年に国内で出荷された自転車は約578万台。捜査員は再現された自転車の全体像から、販売店の購入履歴などを照会し、容疑者を割り出す。周辺の駐輪場を実際に見ることもある。
これまでも自動車やバイクは同様の手法で車種特定が行われてきた。ただ、自転車は安価なものを含めると車種が多い。車体の面積が小さく、防犯カメラでは特徴を捉えるのが難しい面もあり、特定が難しかった。
捜査幹部によると、自転車でも、付属品の後付けなどは1台1台違う特徴があり、特定できれば容疑者の絞り込みが進む。新しい捜査手法で「今まで解決できなかった事件が解決できるようになった」と言う。
より広く使えるようにと、18年にデータベースが構築された。翌19年から警視庁以外の警察でも使えるようになり、今では全国6割ほどの道府県警で使われている。
1人の捜査員の学生時代の遊びから
この捜査手法の生みの親は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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