大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで17日に24人が死亡した放火殺人事件で、容疑者の男の住宅から、2019年に36人が亡くなった「京都アニメーション」放火殺人事件に関する新聞記事が見つかった。捜査関係者への取材でわかった。京アニ事件もガソリンによる放火で、大阪府警は男が事件に関心を寄せていたとみている。
殺人などの疑いが持たれているのは住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)。
谷本容疑者はビルから約3・5キロ離れた大阪市西淀川区の3階建ての住宅に滞在していた。ビル火災の約30分前、この住宅で放火とみられる火災が発生し、2階の一部を焼損した。
捜査関係者によると、ビル火災後にこの住宅を家宅捜索したところ、京アニ事件から2年になることに関する今年7月の新聞記事が見つかった。府警は、谷本容疑者が少なくとも5カ月前から京アニ事件に関心を寄せ、放火の手口を把握した恐れがあるとみている。
京アニ事件は19年7月に京都市伏見区の同社スタジオで発生。らせん階段付近にガソリンがまかれ、一気に激しく燃える「爆燃現象」が起き、36人が死亡、32人が重軽傷を負った。
府警は、谷本容疑者は大阪市北区の雑居ビル4階のクリニックで、出入り口近くで紙袋を蹴り倒してガソリンとみられる液体を流出させ、ライターで火をつけたとみている。
捜査関係者によると、府警は西淀川区の住宅から、谷本容疑者が書いたとみられるメモも押収した。「消火栓」といった火災との関連をうかがわせる文言があったという。
ガソリンとみられる液体が入った容量約2リットルの容器も発見、押収した。関係者によると、液体は色やにおいからガソリンとみられ、府警はこの住宅からクリニックまで、谷本容疑者が自転車でガソリンを運んだとみている。
捜査関係者によると、谷本容疑者は11月下旬に滞在先近くのガソリンスタンドで、ガソリンを約10リットル分購入していた。ガソリンを携行缶などに詰めて購入するには本人確認が必要で、谷本容疑者が店側に身分証を提示していた。府警は計画的犯行とみている。
府警は20日、事件で死亡した24人全員の死因が一酸化炭素(CO)中毒だったと発表した。府警は、谷本容疑者がまいた液体はガソリンで、火が爆発的に広がり、避難が難しかったとみている。
谷本容疑者は事件時に催涙スプレーも所持していた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル