文字でもなければ絵でもない――。そんな謎の落書きが宿場町の面影を残す愛知の山あいの街で相次いで見つかった。容疑者として7月に逮捕されたのは、国際的な若手スキー選手。調べに対し「あれはアートだ」と説明したという。
愛知県豊田市の足助地区。かつては尾張・三河と信州を結ぶ街道の中継地として栄え、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたエリアがある。紅葉の名所・香嵐渓もあり、東海地方を代表する観光地の一つだ。
足助地区内で落書きが目につくようになったのは昨秋ごろ。「落書きは一つあると、どんどん集まる。景観を損なう行為で、足助にとっては大きな損失になる」(捜査関係者)。グラウンドにあるベンチの屋根の柱、電力会社の変圧器、中学校近くのフェンス……。保存地区内を含め被害は続いた。
落書きは警察の取り締まりの対象だ。特定の個人への嫌がらせ目的のものや、外国人への差別的なメッセージが書かれたものでは、その内容から犯人像が絞り込まれるケースが少なくない。
一方で、足助地区内で見つかった落書きは「アルファベットを崩したようにも見えるが解読はできないもの」(捜査関係者)。手がかりが乏しいなか、昨秋から地道な捜査を続け、容疑者として浮かんだのは豊田市内に住む20代の男だった。
足助署は7月19日に男を逮…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル