密室の電車で相次ぐ死傷事件 関係者も「対策に限界」

 走行中の電車内という「密室」で、乗客が襲われた今回の事件。鉄道はたびたび犯罪の標的になり、国や鉄道会社は対策を講じてきた。だが、利便性との兼ね合いもあり、防止や対応に限界があるのが実情だ。

 列車内で乗客に死傷者が出る事件は過去にも起きている=表。1995年にはオウム真理教の信者がまいた猛毒のサリンによって地下鉄サリン事件が発生。14人が死亡した。2015年には東海道新幹線の車内に男がガソリンを持ち込んで焼身自殺し、巻き添えで1人が死亡するなどした。2018年には東海道新幹線で乗客が男に切りつけられ、3人が死傷した。

 国土交通省は18年の事件後に省令を改正し、梱包(こんぽう)されていない刃物の車内への持ち込みを禁止した。東京五輪の警備強化の必要性を踏まえ、今年7月からは鉄道会社が利用客の手荷物検査をできるようにした。

 鉄道会社も対策を進めている。JR東日本は18年度以降の新造車両のすべてに防犯カメラを設置しているほか、主要駅構内や沿線などをネットワークで監視できるようにした。五輪に向けた警備強化として、首都圏の新幹線の駅や競技会場の最寄り駅などで手荷物検査を実施すると表明した。

 ただ車内の様子をリアルタイムで確認するのは難しいという。事件を未然に防ぐ手だてとして、金属探知などを使った手荷物検査も考えられるが、JR関係者は「利用者が多い在来線では現実的ではない」と言う。運転士の経験がある私鉄関係者も「走行中に後ろを振り向いて状況を確認するのは難しい。運行の安全も考えると、運転士が犯人を取り押さえるのも困難だ」と指摘。「在来線で刃物を振り回す事案は訓練でもあまり想定しておらず、具体的な対応がないのが現状」と話す。鉄道アナリストの川島令三さんは、「乗客自身がかばんなどで身を守るしかなく、対策が難しい」と話す。

 少しでもリスクや被害を減らすにはどんな対策が考えられるのか。

 テロ対策に詳しい日本大の河…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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