富山湾の名物・ホタルイカの水揚げ港の一つとして知られる富山市の水橋漁港が、能登半島地震で深刻な被害を受けている。沖合の定置網が使えなくなり、港の施設にも亀裂が走っている。3月からのホタルイカ漁に向けて、漁業者たちは復旧作業を続けるが、例年通りの水揚げは期待できない状況だという。
水橋漁民合同組合は通常、富山湾の5カ所の定置網でホタルイカなどの漁をする。今季も昨年12月30日、2カ所で網を整えて、アジやスルメイカを水揚げし、年明け4日に初競りをする予定だった。
しかし、組合によると、地震を受けて網を固定する海底のいかりがさらに深い場所へと落ちるなどの被害が続出。すでに網を準備した2カ所のうち、1カ所はほぼ壊れてしまった。もう1カ所も3分の1ほどが壊れたという。ほかの3カ所でも設備に被害が出ており、すぐに網を整えることができない。
組合によると、わかっているだけでも被害額は約7千万円に達し、さらに増えるのは確実だという。
そして、年間の漁獲高2億円の8割を占めるホタルイカ漁が3月に迫る。組合では当面、定置網2~3カ所を復旧し、操業していく予定だ。安倍久智(ひさのり)組合長(43)は「とりあえず漁業再開に向け、最低限の資材を計算しつつ動いている」と話す。
一方、漁港の被害も深刻だ。あちこちに亀裂などが見られる。荷さばき施設は建物と護岸の間に大きな段差ができ、立ち入り禁止になった。水揚げまでに仮の施設を整備する必要があるという。
安倍組合長は「年明けから操業ができていない。行政もいろんなことを考えてくれてありがたいが、問題だらけで一つも解決できていない。組合員の生活もある」と、早期の支援を求めている。(大谷秀幸)
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富山県漁業協同組合連合会(道井秀樹会長)は18日、県庁で新田八朗知事に能登半島地震に伴う漁業被害に関する要望書を提出した。連合会によると、17日現在で漁船や漁具の被害は36件、2億6500万円で、更に増えるという。
要望書では、漁港、市場などの関連施設や漁船、漁具に深刻な影響が生じているとして①漁港など公共施設の速やかな復旧②漁船・漁具の復旧に必要な支援措置③荷さばき所など共同利用施設の復旧に必要な支援措置を求めた。仲買人や加工業者への支援も求めた。
道井会長は「かつてない被害で、大変な事態に陥っている。一日でも早い復興をめざして頑張りたい。ぜひともお力添えを」と訴えた。新田知事は「『寿司(すし)と言えば、富山』で売り出し中だが、基盤が揺らいでいるところなので、漁業者や漁協としっかりスクラムを組んで難局を乗り越えていきたい」と述べた。(大谷秀幸)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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