富山市議会が「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を断絶する」と決議したことにより、「憲法の保障する議会への請願権や信教の自由などを侵害された」などとして、市内の50代の男性信者が16日、市に対して決議の取り消しと慰謝料など350万円の支払いを求めて富山地裁に提訴した。
訴状によると、男性は1987年に教団に入信したという。「富山をよくするために藤井(裕久)市長や自民党所属の市議会議員らを応援し、選挙協力に力を尽くしてきた」という。しかし、安倍晋三元首相の銃撃事件以降、報道によって「突然巻き起こった社会的偏見の嵐にさらされることになった信者たちは、息をひそめるようにして事態の成り行きを見守るほかはなかった」という。
提訴後に会見した男性は「信者も含めすべての市民に対して中立、公平、平等であってほしい。市政に参加し、意見する場を取り戻したい」と述べた。代理人の徳永信一弁護士によると、同様の訴訟は全国で初めてという。大阪でも複数の信者から相談を受けており、複数の自治体に対して提訴することを検討していると明らかにした。
市議会は9月、「問題は、政治家が宗教団体と関わることではない。消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる『霊感商法』などで大きな社会問題となった団体とのつながりを持ってきたことにある」とし、「旧統一教会及び関係団体と今後一切の関係を断ち切る」と宣言する決議を全会一致で可決した。
市は「訴状が届いていないので、コメントはできません」としている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル