新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、京都女子大(京都市東山区)が、学生寮の「個室化」を進めている。足りなくなった部屋を確保するため、インバウンド(訪日外国人客)の減少に悩むゲストハウスを丸ごと一棟借りるなどの対応を急いでいる。
明るい木目調で統一された「紫金寮」の3人部屋。ロフトベッドで仕切り、机やイスなどが並ぶ。冷蔵庫や掃除機、扇風機などは共有している。広さは約30平方メートルあるが、府のガイドラインで「居室はできる限り1人部屋となるよう配慮」を求められた。
キャンパス内に三つの寮があり、共同生活を通じた成長を重視しているため、伝統的にすべて3人部屋だ。全学生の1割近い530人が入寮しているが、「1部屋1人」になると215人しか入れない。入寮を予定していた315人分の施設を探さなくてはならなくなった。
そこで、ゲストハウスに白羽の矢を立てた。賃貸マンションとして、3棟を丸ごと借りることに。学生マンションやビジネスホテル、賃貸マンションを含めた京都市内の14施設を押さえ、手当てできた。
寮の環境と不公平にならないため、家電や照明などがない施設には大学側が用意。収納スペースがなければ、タンスも入れた。半年間で13万~18万円の寮費とほぼ同額に抑え、差額の賃料などを大学が負担する。大学を運営する学校法人の竹内康弘・法人本部長は「(負担額は)1億円を超えるが、大学側に義務がある」と話す。
大学と貸主とをつないだ不動産管理会社「長栄」(本社・下京区)の担当者は「賃貸マンションの中には、学生が実家でオンラインで授業を受けるため、キャンセルされた物件もある。収入がなくなった家主にとってもありがたい話だ」と話している。(小林正典)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル