古都ぶら
街を歩くと、マスク越しに様々なにおいに出会う。ソースやだし、揚げ物のにおい、香水や柔軟剤のようなくっきりとした香りが多いが、時折やわらかな香りに気づく。それは線香やお香(室内香)の香りだ。「京都の香り」と私は勝手に思っているが、その考えは浅はかだったようで……。
訪れたのは、松栄(しょうえい)堂(京都市中京区)。江戸時代から300年以上にわたって、線香など香りものを手がけている。烏丸通沿いのビルの1階には、香りの体験スペース「薫習(くんじゅう)館」がある。ここで、いろいろな香りの原料をかいでみた。
香木の白檀(びゃくだん)の大きな板は、ほんのりと甘い?、沈香(じんこう)はなんだか「古めかしい」イメージ。料理のスパイスにも使う丁子(ちょうじ)は「辛い」、乾燥させた薬草の甘松(かんしょう)は「苦い」とある。
これらの原料から線香を作る作業は、2階の「香房」と呼ぶ作業場で見学できる。
中に入ると、すっとした香り。細かく砕いた原料を練り合わせ、粘土状のかたまりにしたものを小さな穴から押し出す。決められた長さに切りそろえ、乾かせば完成だ。
寺ごとのレシピも
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「2人の調合師が長い歴史の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル