寺の壁に「かたみ」 定番の落書き、440年経てば史料

 国の重要文化財「願興寺本堂」(岐阜県御嵩町)で解体修理中に見つかった、約440年前のものとみられる「落書き」が保存されることになった。文化財の一部として保存するよう、文化庁が指示した。願興寺は、修復後も落書きが見える状態にすることを検討している。

 落書きは、1581(天正9)年に再建された本堂の仏壇背面の壁から見つかった。都(みやこ)と地方を結ぶ街道「東山道」沿いにあり、多くの旅人が訪れたという。そのなかで書かれたとみられ、地名や人名が壁一面に墨で書かれていた。「かきおくもかたみとなれやふでのあと我はいずこのうらにすむとも」(大意・自分がどこで朽ち果てても、この筆跡が形見になってほしい)という歌や、歌を略した「かたみかたみ」という文字も多く残されていた。

 この時代の落書きについての著作がある国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)の三上喜孝教授(日本古代史)によると、「かたみかたみ」は当時の落書きの定型という。16世紀後半~17世紀前半、巡礼者たちが各地の寺の観音堂などに「住んでいる地名+人名+かたみかたみ」と書き記した。「当時の落書きは信仰の一種。いまの落書きのような倫理的な問題があるとは、当時は考えられていなかっただろう」とみる。「旅の記念に自分が訪れたことの証しを書き残していったと思われます。ユースホステルなどに宿泊したお客さんが、備え付けのノートに思いを書き残す行為に近いのでは」

 工事にあたる公益財団法人・文…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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