専業主婦の妻は満足した人生だったか 悩む夫に上野千鶴子さんが一喝

 元高校教師です。現役時代はテニス部の顧問をして、土日も休日も、試合や練習で家を空けることが多い生活でした。必然的に家庭や子どものことはすべて「専業主婦」の妻にまかせっきりになりました。

 こんな生活について、自分は学校のため、生徒のため、ひいては社会のために貢献しているのだという自負を持っていました。

 ところが、先日、妻がふと、「いままで家族のご飯をつくるのに、どれだけの時間をかけてきたんやろか……」と漏らすのを聞きました。

 さらにその数日後、女性の友人から「それだけ部活に打ち込めたのは、奥さんが家のことをしてくれたからでしょ」と言われました。いまさらながら、これらの言葉が気になっています。

 妻は社会への関心も高く、社交的です。「ほんとうは社会に出て何かしたいことがあったのではないか?」「家族の面倒を見るだけの人生に満足しているのか?」という疑問が頭から離れませんが、怖くて聞くことができません。

 このままでいいのか、それとも妻に何か言うべきか、悩んでいます。

回答者 社会学者・上野千鶴子さん

 部活に熱心な高校教師ですか。土日も休日もいとわず「学校のため、生徒のため、ひいては社会のために」献身してきた自負をお持ちなんですね。

 社会活動家や労働運動家を夫に持つと、妻はモーレツサラリーマンを夫に持つよりもたいへんな目に遭(あ)うと言います。長時間労働のサラリーマンの夫になら、あんたはせいぜい会社の利益のために働いているのねと言えるのに、社会活動に熱心な夫には「世のため人のため」という大義名分があるからです。

 童画家のいわさきちひろさん…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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