千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待死したとされる事件で、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判が2日、千葉地裁であった。当時の県柏児童相談所の児童心理司と、遺体を調べた法医学の専門医が証人として出廷。専門医は「非常に強い飢餓やストレスがかかった可能性が高い」と語った。
検察側が説明した医師の所見によると、心愛さんの遺体には、頭から足まで全身に数十カ所のあざ(皮下出血)があった。胸の骨が折れ、髪も数カ所抜けている。胃の中には食べ物がなく、肺には溺れた時にみられる特徴があらわれていたという。
医師は胸や頭頂部、あごの下のあざなどについて、「自己転倒では生じにくい」と指摘。胸の中心の骨が折れたことは「胸全体に力がかかる動作なら肋骨(ろっこつ)も折れることが多いため、あくまで限られた範囲に力がかかった可能性がある」と話した。
医師によると、心愛さんの死因は、飢餓とストレスによる病的状態に基づくショックもしくは致死性不整脈か、溺水(できすい)が考えられるという。
心愛さんは栄養状態は悪くなかったものの、糖の代わりに体内にある脂肪酸を分解し、エネルギーとして使う際に出る物質の濃度が、健康な子どもより著しく高かった。糖尿病や先天的な代謝異常などがないことから、医師は「飢餓とストレスが原因であったと考えられる」と説明。そうした状態になれば「心臓の機能が低下し、不整脈が生じる、あるいは脳が正常な機能を果たせなくなる」と話した。
また、医師は溺死(できし)の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル