埼玉県警は“科捜研の男”を住居侵入容疑で逮捕
1月9日、頭を抱え報道のカメラに顔を隠すようにして送検された1人の男。
男は埼玉県警の科学捜査研究所に技術職員として勤務する遠藤泰徳容疑者(37)。遠藤容疑者は事件現場から押収した証拠を分析し、未解決事件などの捜査支援を行う最先端捜査のエキスパート、通称「科捜研」に勤務していた。
【画像】 “科捜研の男”を住居侵入・盗撮で逮捕も指紋なし その手口とは
埼玉県警によると遠藤容疑者は2019年8月、同じ埼玉県警に勤務する20代女性のアパートの部屋に侵入し、その部屋を自身のスマホで撮影した疑いがもたれている。
“駅で盗撮”現行犯逮捕 驚きの事実判明
犯行が明らかになったきっかけは、遠藤容疑者が2019年9月さいたま市JR与野本町駅のエスカレーターで20代女性の後をつけ、スカートの中にスマホを入れたとして警察官に現行犯逮捕されたことだった。
この時、押収されたスマホには盗撮した女性の動画のほか、別の女性の部屋とみられる複数枚の写真が残されていた。その後、警察が写真の解析を行ったところ、驚くべき事実が判明した。
なんと、この部屋の家主は同じ埼玉県警に勤務する女性職員だった。
捜査に協力した女性職員は「自分の部屋で間違いないが、遠藤容疑者とは顔見知り程度で、特別な交友関係もなく自宅に入れたことなどない」と話したという。
埼玉県警によると、女性の部屋の鍵や窓に壊された形跡もなく、また女性自身も「自分の部屋に誰かが入ったとは感じていなかった」と話しているという。
さらに埼玉県警が、女性の自宅の鑑識活動を行ったところ、部屋に侵入した遠藤容疑者の指紋は一切検出されなかったという。
この事について、捜査幹部は、「科捜研に勤務している遠藤容疑者が、自分の指紋を残さないようにするやり方なんていくらでも知っているはず」と話している。
遠藤容疑者による緻密かつ大胆な犯行方法とは・・・
遠藤容疑者のスマホに残されていた同僚女性の部屋の写真の撮影日時は2019年8月27日、正午過ぎだった。
この日の遠藤容疑者の勤務は通常勤務で、警察が勤務状況を同じ職場の職員などに確認したところ、勤務時間中に長時間いなくなるような不審な行動はなかったという。それでは遠藤容疑者はどのようにして犯行に及んだのか。
捜査幹部は「まだ確実に裏取りは出来ていないが、昼休みの時間を利用して犯行に及んだとみている。遠藤容疑者が勤務している科捜研の職場から被害にあった女性の自宅まで、昼休み中に往復するのは可能な距離である」と話している。
また侵入方法として、女性の部屋の鍵や窓に壊された形跡もない事に関して別の捜査幹部は、「遠藤容疑者は同じ警察職員という立場を利用して、被害者となった女性の勤務中の行動を確認し、その後、女性職員に気が付かれないようにしてバッグなどから鍵を盗み合鍵を作成したのではないか…」と話している。
「覚えてない」と容疑を否認 しかし別の女性の写真も
遠藤容疑者は調べに対して「覚えていない」と容疑を否認し、どのような目的で女性職員の部屋に入ったのか、その動機を明らかにはしていない。
しかし、遠藤容疑者のスマホには被害者女性の部屋以外にも同じ埼玉県警に勤務する別の女性職員の部屋とみられる写真も複数枚残されていて、警察は余罪もあるとみて引き続き捜査している。
“科捜研の男”遠藤容疑者を逮捕した埼玉県警は、「職員が逮捕されたことは大変遺憾であります。今後の捜査結果等を踏まえて、厳正に対処いたします。」とコメントしている。
(社会部 埼玉県警担当 河村忠徳)
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