尊厳死のタブー視に「違和感」 倉本聰さんの原稿公開

姫野直行

 日本尊厳死協会が、同協会の顧問を務める脚本家倉本聰さんが友人の死についてつづった直筆原稿を協会のホームページで公開した。倉本さんは、尊厳死や安楽死の議論がタブー視されている日本の医療の現状に対し、「僕は違和感を感じる」と疑問を投げかけている。

 原稿は「そしてコージは死んだ」と題された200字詰め原稿用紙27枚のもの。コージさんは倉本さんの40年近く前からの友人で、倉本さんが開いた脚本家・俳優養成塾「富良野塾」の創設期からのスタッフという。2年半前に肺がんを患い、今年3月に62歳で亡くなった。

 苦しい闘病の末に亡くなったといい、倉本さんは「(コージさんは)尊厳死協会の会員だったが、その会員証は何の役にも立たなかった」と振り返る。

 そのうえで、「人命尊重という古来の四文字を未(いま)だに唯一の金科玉条とし、苦痛からの解放というもう一つの大きな使命である筈(はず)の医学の本分というものを、医が忘れてはいまいか」と訴えた。

 また友人の「最後の日の苦しみ」に立ち会うことになったのは、「医学という一つの学問の中での思考のあやまり、いわば哲学の欠如である気がする」と記している。

 日本尊厳死協会のホームページ(https://songenshi-kyokai.or.jp/)で全文を読むことができる。(姫野直行)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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