サッカーJ2のヴァンフォーレ(VF)甲府が16日の天皇杯決勝に臨み、延長そしてPK戦の末、サンフレッチェ広島に勝利した。J1の格上クラブを次々と撃破し、「完全下克上」で成し遂げた初の栄冠。サポーターらが詰めかけた日産スタジアム(横浜市)は歓喜に包まれた。
日産スタジアムを埋めた2万人の甲府サポーター
日産スタジアムには、約3万8千人の観客が詰めかけた。VF甲府によると、甲府のサポーターは応援バスツアーの利用者も含めて2万人以上にのぼったといい、広島の猛攻を耐え続ける選手たちのプレーを後押しした。
「PRIDE of 山梨」「アジアへ行こう」。午後2時のキックオフ前からゴール裏に応援幕を掲げたサポーター。その応援を受け、開始直後から押し込む広島に対し、複数の選手が取り囲んで攻撃のリズムを整えていった。
そして、前半26分。コーナーキックをきっかけに主将のMF荒木翔からボールを受けたFW三平和司がゴール前で合わせ、貴重な先制点を挙げた。何度も繰り返してきた練習が実った瞬間、声出しが認められたエリアで見守っていたサポーターから大きな歓声が上がった。
攻め続ける広島、はね返し続ける甲府――。逃げ切れそうなムードが漂い始めた後半39分、ついに同点に追いつかれた。だが、サポーターの落胆は一瞬だけ。必死の応援で選手たちの背中を押し、試合は1―1のまま延長へもつれ込んだ。
奇跡的なセーブに歓声
サポーターの熱い思いが届いたのは延長後半12分。広島が得たPKをGK河田晃兵が奇跡的なセーブで止めると、再びスタジアムが割れんばかりの歓声に覆われた。
30分の延長でも決着がつかず、PK戦に。互いに3人目まで決め、迎えた広島の4人目。ここでGK河田が再びセーブ。歓声とどよめきの中、甲府の5人目が決めて優勝を手にすると、サポーターの中には涙を流す人も見られた。
甲府市から駆けつけた自営業の男性(52)は「こんな日がくるとは。勝てるとは思っていませんでした。選手が頼もしく、感謝しかありません」と喜びを爆発させていた。
記事後半では、優勝を決めた後の吉田達磨監督や選手たちの談話を紹介。「ヴァンフォーレの生き証人」も喜びを語っています。
危機と苦しみを乗り越えた先の歴史的な勝利
30回目の出場で初優勝を果…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル