阿部浩明
北海道函館市内のすべての市立小学校で、今年度の水泳授業が中止されることになった。プールのない学校の児童を近隣校のプールに移動させる必要があるが、送迎用バスの運転手を確保できないためという。
市教委によると、市立小39校のうち20校にはプール施設がない。この学校の児童たちはこれまで、プールのある近隣の拠点8校に行って、水泳の授業を受けてきた。コロナ禍で2020年からプール学習は中止していたが、感染症法上の「5類移行」により、今夏は4年ぶりに再開される予定だった。
ところが、移動に必要な延べ約350台分のバス運転手の確保が難しくなった。コロナ禍でバス需要が減って運転手の離職が相次いだことや、コロナ明けで観光需要が回復しつつあるなか、少ない運転手を観光業に回さざるをえないというバス会社の事情が背景にあるという。
授業のカリキュラムは校長の判断だが、市教委がプールのある学校の校長に意向を確認したところ、全校が「教育格差が生じかねないので、授業は見合わせる」と答えたため、一律中止を決めた。
学校の水泳学習では、泳法だけでなく、水に落ちたときの対処法など命を守るための安全確保についても学ぶ。市教委は「プールでの実習はできなくても、事故防止などの『心得』を取り上げる授業は必ず行う」としている。(阿部浩明)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル