秋になり、私立小学校の入試が始まっている。複数校を受験する子も少なくないなか、まだ幼い我が子に合否をどう伝えたらいいのか、悩む保護者もいる。
都内に住む会社員の女性(42)の長女(6)は今月までに、埼玉県内の私立小2校を受験。1校は合格、1校は不合格だった。11月以降も数校の受験を予定。2校の結果は長女に伝えていない。
「合格を伝えたら安心してしまうかもしれないし、不合格を伝えたら気落ちしてしまうかもしれない。ただ、隠していることを見抜かれている気もします」
伝えないつもりだったのに、想定していなかった事態に直面した保護者もある。
小学校2年生の長男(7)に受験させた都内の女性(38)は、長男が指導を受けていた講師のアドバイスをもとに、合否は伝えないつもりだった。
ただ長男は、受験した学校全てで不合格に。慌てて二次募集をしている私立小の受験を検討したが、試験に行くのを「あと何回」と把握していた長男に、伝えざるを得なくなった。「もう一度チャンスがある学校があるけど受けてみる?」と聞くと、長男は泣きながら「受ける」と答えた。
長男は二次募集で合格した学校での生活を楽しんでいるが、女性は「何が正解だったのかわからない」と話す。
「私、ダメだったの?」
都内の私立小に長女(7)が通う女性も、結果を詳しく伝えなかった。合格も不合格もあったが、全力で頑張ってきた長女に伝える必要はないと判断した。ただ、想定外のことが起きた。
ある日、学校から帰宅した長女が「私、ダメだったの?」と聞いてきた。友だちとの会話で、長女が第一志望として受験して不合格だった学校のことが話題になり、「落ちたから、この学校になった」などと言う子がいたのだという。
結局、女性は長女に伝えざるをえなくなった。今後あらためて、伝えていなかった理由をしっかり説明したいと考えているという。(中井なつみ)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル