小川洋子氏、ブッカー国際賞逃す 作品が最終候補入り

 世界で最も権威ある文学賞の一つ、英国のブッカー賞の翻訳部門にあたるブッカー国際賞が26日(日本時間27日未明)発表され、Marieke Lucas Rijneveldさん(オランダ)の「The Discomfort of Evening」に決まった。最終候補6作に入っていた作家・小川洋子さん(58)の「密(ひそ)やかな結晶」(英題「The Memory Police」)は、受賞を逃した。

 「密やかな結晶」は、記憶の消滅が起きる島の物語。消滅が滞りなく進んでいるか、秘密警察が監視の目を光らせている。日本では1994年に刊行され、英語版は米ミドルベリー大教授(日本文学)のスティーブン・スナイダーさん訳で昨年刊行された。昨年の全米図書賞翻訳部門の最終候補にも残り、高く評価されていた。

 ブッカー国際賞は2005年に創設。1969年から続く本賞のブッカー賞とともに、英国かアイルランドで1年間に出版された作品が対象となるが、本賞は英語で書かれたもの、国際賞は英語に訳されたものが対象となる。

 アジアの作家では、韓国のハン・ガンさんが16年に選ばれた。18年に受賞したポーランドのオルガ・トカルチュクさんは、19年にノーベル文学賞(18年分)に選ばれた。

 賞金は5万ポンド(約690万円)で、著者と訳者で折半する。(興野優平)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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