東京都の小池百合子知事は29日、都庁で記者会見を開き、次世代のモバイル通信規格である「5G」ネットワーク構築を促進する基本戦略を発表した。2020年の東京五輪・パラリンピックを視野に、アンテナ基地局の設置を推進し、遠隔教育など5Gを使った施策を展開する。小池知事は「モバイル・インターネットを最も賢く利活用する都市が未来を制すると言っても過言ではない。東京に世界最速のモバイル・インターネット網を建設する」と語った。
「TOKYO Data Highway」を五輪レガシーに
5Gとは、次世代の通信規格のことで、現在私たちがスマートフォンなどで利用している「4G」の次の世代にあたる。5G回線は「高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」が特徴で、現行の4Gより約100倍速く、例えば2時間の動画が数秒でダウンロードできる。また通信のタイムラグも小さいことから、モニターなどを通じた緻密な遠隔操作なども高い精度で行うことが可能になる。
小池知事は、都が構築を目指す5Gネットワークを「TOKYO Data Highway」と名付け、「2020年東京五輪・パラリンピックのレガシー(遺産)としたい」と述べた。
さらに「優れたインフラは都市の繁栄を支え、都市間競争の決め手になってきた」と強調。21世紀の基幹インフラは「電波の道(通信ネットワーク)」だとして、「5Gはゴールではない。その後の6G、7Gと技術革新に応じてアップデートは続くが、東京を常に世界最先端のモバイル・インターネットで覆い、持続可能な成長ができる街にしていきたい」と意気込んだ。
都は今後、基本戦略に沿って「アンテナ基地局設置の促進」「重点整備エリアの設定」「都独自の5G施策の展開」に取り組む。
これまで通信ネットワークの整備は民間の通信事業者(キャリア)主体で行われてきたが、今後は都が民間と連携し、5Gネットワークの早期構築を目指す。具体的には、基地局の設置場所として、東京ビッグサイトなど都の保有する施設や都営公園、都道などを開放し、各社からの利用手続きの簡素化を図ることで、スピーディーに進める。
整備は、五輪会場やその周辺地区のほか、都庁がある西新宿周辺などを重点エリアとして進める方針。5Gを活用した都の施策としては、遠隔教育や遠隔診療、自動運転などを想定する。
基本戦略は、7月に参与に就任したヤフー前社長の宮坂学氏が都幹部らとまとめた。会見に同席した宮坂参与は「キャリア(通信会社)を積極的に支援したい。前のめりでやる」と話し、今秋にはキャリア各社の意見を聞きたいとした。5Gがもたらす未来については、これまでに世の中を変えたと感じたテクノロジーとして『ADSL』と『スマホ』を挙げ、「5Gネットワークが設置されれば、今まで見たことのない魅力的なサービスが登場するのではないか」と期待を語った。
(取材・文:具志堅浩二)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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