日本映画に大きな足跡を残した小津安二郎監督(1903~1963)の作品に若い世代も親しんでもらいたい。そんな思いをこめた文庫サイズの本が出版された。世界的監督や日本の名優も文章を寄せた本のタイトルは「小津三昧(ざんまい)」――。
小津監督が暮らした北鎌倉などを舞台に、「東京物語」(1953年)に出演した故・笠智衆さんらにインタビューする「東京画」(85年)も撮ったドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督や、小津映画に出演した俳優の香川京子さん、司葉子さんらが寄稿したり、インタビューにこたえたりしている。
与えた影響力は映画界にとどまらず、世界的に活躍する建築家の隈研吾さん、美しい色彩で自然を描く絵本作家の葉祥明さんも登場する。手のひらサイズながら、多様な分野の21人の小津愛が詰まった贅沢(ぜいたく)な1冊だ。
奇跡の映画は「普遍的なもの」「古びない」
本を編集したのは、独立系映画を中心に紹介する活動などに携わる神奈川県藤沢市のNPO法人「湘南遊映坐」。小津映画のプロデューサーを務め、鎌倉在住だった山内(やまのうち)静夫さん(2021年死去)とともに、2013年から小津映画の紹介イベント「みんなの小津会」を北鎌倉で開催。本は10周年企画として出版した。
小津監督を敬愛するヴェンダ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル