近畿大医学部法医学教室の元主任教授、巽(たつみ)信二容疑者(66)=詐欺罪などで起訴=が大阪府警から国費の司法解剖検査料約5千万円をだまし取ったとされる事件で、巽容疑者らが解剖に採取した標本の数を水増しした疑いがあることが、捜査関係者らへの取材でわかった。府警は、不正が発覚しにくいように少額の詐取を重ねたとみている。
府警は18日、2015年4月~21年3月に解剖の検査料を水増ししたり、架空請求したりして府警から計約5千万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で巽容疑者を大阪地検に送検した。
捜査関係者らによると、水増し請求があったのは解剖に伴う組織学的検査。遺体から採った組織材料を染色し、プレパラートに載せて標本をつくり、顕微鏡で病変などを見つける。
近大法医学教室ではほぼすべての解剖で1回あたり数十点の標本を採取していた。標本は再検証などのため解剖後も保存され、帳簿に記録されていたが、同教室が府警に報告し、検査料を請求した標本の数は、教室の帳簿上の数より多かったという。ほとんどの解剖で数個程度多く標本を採取したことにして、府警に報告していたとみられる。
15年度以降、教室は毎年約3千~6千点の標本をつくったとして府警から検査料約1300万~3千万円を得ていた。一部が虚偽だったとみられている。
捜査関係者によると、府警への虚偽の報告書は、教室の別の男性が巽容疑者の指示で関わっていたとみられる。府警は水増し請求への関与について調べている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル